暮らしの中でのセルフケア


暮らしの中でのセルフケア1)

乾癬は、発症してから治療を終えるまで、長い年月を要します。かゆみや腫れ、痛みなど、目に見えない症状が伴うことも多く、精神的に大きな負担を与えます。また、目に見える皮膚の疾患だからこそ、他人の目に触れることに抵抗を感じることもあるでしょう。さらに家に閉じこもりがちになったり、先の見えない治療に不安や強いストレスを感じるのは、当然のことです。

長く付き合あっていかなければならない疾患だからこそ、病院での治療に頼るだけでなく、これ以上悪化させないために生活習慣の改善がとても重要になってきます。また、乾癬に向き合っていく上でのメンタルを整え、悲観的にならないための工夫も必要です。近年、乾癬の治療法は研究が進みより良い治療法が生まれてきていますが、まずは身近な暮らしの中でのセルフケアにも目を向けましょう。

1)日本皮膚科学会 日常生活上の注意は何ですか?

https://www.dermatol.or.jp/qa/qa14/q12.html

心のケア

●乾癬について情報交換の場があります。一人で悩まずに、みなさんと共有してみてはいかがでしょう。

乾癬患者のQOL(Quality of Life :生活の質)は低い傾向に

乾癬の症状は、皮膚が炎症を起こして皮膚がフケのようにポロポロ剥がれ落ちる病気です。見た目に症状が顕著に現れるため、乾癬を知らない人から特殊な皮膚病ではないかと疑われたり、触れるとうつる病気なのではないかと誤解されることもあります。

その結果、人目を避けて家に引きこもるようになったり、心の病を併発するケースも少なくありません。

そのため、乾癬患者さんの生活や人生の満足度を示すQOLは低くなる傾向にあります。

「患者の会」で情報交換をしよう

一人きりで悩まないでください。あなたと同じような悩みを抱える人が日本全国にたくさんいます。そのような人たちに自分のことを話したり悩みを共有したりすることで、気持ちが楽になれるでしょう。

日本全国で「乾癬患者の会」の組織が発足・活動を展開しています。「乾癬患者の会」では、患者さんとその家族のためにウェブで情報提供したり、医療関係者を招いて勉強会を開いたり、患者さん同士で集まって懇親会を開催して情報交換を行ったりしています。

必ずしも居住地域にある会に所属する必要はありません。居住地域以外に気になる患者の会があれば、気軽に主催者に連絡を取ってみましょう。

日本乾癬患者連合会 http://jpa1029.com/

身体のケア

●食べるもの、身につけるものを見直して、症状の悪化を防ぎましょう。

●入浴で肌を清潔に保つことも大切です。

食事で気をつけたいこと

カロリーの高い食事は乾癬の症状を悪化させてしまう原因になるため、脂っこい食べ物や肉類は避けましょう。肉類より魚類を多く摂り、栄養バランスのとれた食事を心がけます。中でも、青魚は皮膚の炎症を鎮める効果をもつDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)を多く含むため、積極的に食べるのがおすすめです。

また、香辛料などの辛いものや身体を温めるものも、かゆみを増す原因になるため避けたほうがよいでしょう。

また、お酒もかゆみを増す原因になるほか、乾癬の方で、特にメタボリックシンドロームの方は肝障害を起こしやすくなることもあります。全く飲んではいけないわけではありませんが、お酒の飲み過ぎには注意が必要です。

衣服の選び方

があります。そのため、皮膚がこすれないように、なるべくゆったりとした服を着るようにしましょう。

また、素材も刺激の少ない綿100%のものを選び、ポリエステルなどの化学繊維やウールは避けましょう。症状の程度によっては、フケが目立たないように白っぽい衣服を選ぶのもポイントです

きちんと入浴しよう

肌を清潔に保つため、入浴は毎日行いましょう。入浴をすれば温浴効果だけではなく、精神的なリラックス効果も得られます。

その際、かゆみのある方は熱めのお湯につかったり長風呂したりすると、身体があたたまってかゆみが増してしまうため、ぬるめのお湯にして短時間であがるようにするのがベストです。

また、かえって症状を悪化させてしまうため、かゆいからといってナイロンタオルなどを肌に強くこすりつけるのは禁物。身体を洗うときはせっけんを十分に泡立てて泡をふんわり乗せるようにして洗います。頭を洗う時も、ゴシゴシこすらないように注意しましょう。

また、乾燥も乾癬にとっては大敵です。入浴後は保湿クリームを身体に塗ったり、加湿器を使うなどして、肌が乾燥しないように心がけてください。